
【Sell in may】「5月に株を売れ」は本当?日本株で調査
目次
はじめに
米国の相場格言で、Sell in mayというものがあります。これは、株式市場は5月〜9月にかけて不調になる傾向があることから、5月に売り逃げて相場から離れるべきという内容の格言です。
そこで、この格言に従って投資をした場合、本当にパフォーマンスが改善するのかという疑問が生じます。本記事では、日本株を対象に、Sell in May実施の有無によるパフォーマンスの違いを比較しました。
なお、元の格言は米国株を対象としたものですが、私は日本株の取引をメインで行なっているため、日本株の取引に格言を適用できるかという観点で調査しました。
データ概要
- 日本株
- NF・TOPIX ETF (1306.T)の株価データを使用
- 2009年1月〜2024年12月
- 比較方法
- 株をずっと持ち続けていたケースと、毎年4月末に売却して10月月初に買い戻したケースを比較
結果
Sell in mayを実施した場合と、そうでな場合で投資のリターンを比較した結果をグラフに示します。
はじめに左側のグラフについて、濃いピンクがSell in mayを実施した場合のリターンです。具体的には、4月末で株を売却して相場から離れ、10月月初に買い戻したと仮定した場合のリターンです。薄いピンクのグラフは、Sell in mayを実施せず、ずっと株を保有し続けた場合のリターンです。 どちらのリターンも同じような推移をしているため、このグラフだけではどちらが優れているかは判断が難しいと思います。
二つのリターンの差をわかりやすくするため、差分を算出しました。その結果を右のグラフに示します。ここでは、Sell in Mayを実施した場合のリターンから、実施していない場合のリターンを引いた結果を示しています。
このグラフを見ると、2014年頃まではSell in Mayを実施たほうがパフォーマンスが良く、効果が出ているように見えます。一方、特に2016年以降になると、Sell in Mayを実施した場合のリターンが明確に悪化しているように見えます。 2016年以降、ずっと株を保有し続けた場合のリターンは年間8.6%ですが、Sell in Mayを実施した場合はのリターンは4.0%であり、4.6ポイント減少しています。Sell in Mayを実施すると、株の保有期間が年12ヶ月から7ヶ月に短くなるため、その分複利効果が得られなくなります。 複利効果が弱まることによって減少するリターンの幅は3.6ポイントと算出されます。したがってパフォーマンス悪化の原因の8割は、保有期間短縮による複利効果減少にあると考えられます。
まとめ
- 2014年頃までは日本株でもSell in Mayの効果があった可能性がある。
- 2016年以降では、Sell in Mayを実施したほうがパフォーマンスが悪化した。
- パフォーマンス悪化要因の8割は、株の保有期間短縮により複利効果が弱くなったためと推測。
Warning
本記事は過去データの分析であり、特定銘柄や投資手法を推奨するものではありません。情報の正確性・完全性を保証せず、将来の株価動向を約束するものでもありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトおよび筆者はいかなる損失にも責任を負いかねます。